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白い空間で男は泣いている。その腕に小さな身体を抱いて。
彼の抱いている小さな身体はだらんと力無く、腕から血が流れ。血は重力に従うまま、床に落ち赤い小さな溜りをつくっていた。
何故、どうして。疑問をぐるぐると考えても、込み上げてくるのは怒りと憎しみだけ。
泣き、小さな身体を腕に抱いて男は床に膝をつく。
男の周囲の景色が突然変わり、小さな身体を抱いたまま蹲る男は平穏そのものといっていい、穏やかな街の道の中央に。
色々な建物が建ち並び、様々な人が通る道に男は異質だった。
通る人々は蹲る男など気にもせずに歩き、過ぎていく。
…男の横を家族連れが幸せそうに歩いて行く。
次も、その次も。
男は腕に抱いた小さな身体を強く抱きしめて思う。
何故、…何故なのだ。
憎しみが男から溢れる。
何故、腕に抱く命は失われたのに世界は巡り、周囲は幸せそうなのか。
自分は幸せではないのに。
男「いっそ、壊れればいい。この世界など…!!」
男の呪いと、憎しみに満ちた声が周囲によく響いた。
だが、男とは別の声も聞こえた。
パパ…、パパ
幼く、たどたどしい子供の声が男を呼ぶも男には届いていなかった。
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重かった瞼を持ち上げる。視界には誰かの顔が映るもぼやけている。
夢を見ていたのかナイはやたらと重い頭と身体に眉を顰めた。
アサギ「ナイ様、気づかれましたか?」
ナイの耳にアサギの声が聞こえる。
僅かな浮遊感と、何かに背中と両足を支えられているのを感じナイは思った。
まさか、またアサギさんに抱えてもらってるんじゃ…?
そして何故自分は気を失っていたのか。
ナイはあれやこれやとぐるぐる考え出す。それを察したアサギが答えてくれた。
アサギ「移動魔法発動中にナイ様が気を失われまして…」
アサギの言葉にナイは驚いて思わず声を荒げてしまった。
ナイ「い、移動魔法の途中で、ですか?!」
移動魔法を使用途中で気を失えば、舵を失った船の様なものだ。
移動魔法の際に使用した魔力コントロールが不安定になり、本来の目的地とは違う場所に着くこともあれば、仲間とはぐれることもある。
ナイは顔色を蒼白にして顔を右に向いたり、左に向いたりして慌てふためく様子を見せる。
しかし、次に聞こえて来た声でナイは動きを止めた。
イーグル「起きたか」
レオ「ナイ、大丈夫?」
草を踏む音とイーグルとレオの声がナイの耳に聞こえ、ナイははぐれることはなくて良かったと安堵した。
しかし、ここはどこ?
ナイはアサギの腕の中で周囲を見回す。
辺りは木と草でうっそうとしている。特に手入れはされていない様子だ。
ナイが不思議そうに首を傾げれば、イーグルがため息とともに言った。
イーグル「…生憎、森林地帯な上に不安定な通信ではこの辺りについては確認出来ない」
言われてナイは泣きそうになるのを堪えつつも、イーグルに謝罪を口にする。
ナイ「す、すみません!僕が途中で魔法の制御を離したばかりに…」
アサギの腕の中でなければ土下座していたような勢いで謝るナイにイーグルの代わりにレオが優しい笑みと共に「大丈夫だよ」とナイを励ます。
アサギとナイから少し離れた位置でレオは何もない宙に手を当てる。
レオの行動にイーグルはレオを見、声をかけた。
イーグル「兄上?」
声をかけられたレオは悩んでいるらしく、「うーん」と首を傾げた。
レオ「…誰かの結界の中に入ってるような気がする」
レオは魔力を手に集める。
すると、小さな光がレオの手から弾け、レオは手を咄嗟に離す。
反発だ。
結界が外部者の魔力を拒絶して反発したのだろう。
ナイ「レオ?!」
ぼやけたナイの視界にも見えた光に、ナイは不安を含む声を上げる。
だが、レオは「大丈夫、大丈夫」と笑って平気だと答える。
レオ「…うーん、ちょっと歩いてみようか」
ひょっとしたら、何か手がかりが掴めるかも知れない。
レオはそう言ってナイを抱えたアサギとイーグルを見た。
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四人は森の中を歩く。
歩いて一時間ぐらい経つ。太陽は空に高く昇っており、しかし温度は特に感じられない。
一時間ほど歩いて汗一つ出ない。
冬ではないのに。
アサギ「これも結界の効果ですかね?」
アサギが疑問を口にすれば察したイーグルが答えた。
イーグル「…そうと見て間違いはなさそうだ。ところでアサギ、何時までナイを抱えて歩いてる」
イーグルの鋭い眼差しがアサギに向けられ、アサギは曖昧な笑みを浮かべた。
ナイはアサギが自分のせいで怒られてると思い、何かイーグルに言わなければと口を魚のように開閉を繰り返すも。
レオが助け船を出してくれた。
レオ「イーグル、ナイはまだノービリスと独りで戦った時に負ったダメージが完全に治ってないんだよ」
レオの言葉にイーグルは「ああ」と納得したが、アサギは目を見開いて抱えているナイの顔を見た。
アサギ「ナイ様、本当なのですか?!」
アサギの反応にイーグルとレオは「あれ?」と困惑気味にナイを見た。
ナイ本人も困惑しているのか「え?え?」と呟く。
ナイ「…あれ、言ってませんでしたっけ?」
アサギ「聞いてません!」
桜華のリハーサルに現れたノービリスとの戦い。あの時、ロザリオのフォローがあったから退かせる事が出来た。
それをナイ一人で相手にしたのかと考えると、アサギは自分の顔から血の気が引くのを感じる。
ナイはそんなアサギの顔色の悪さを見て狼狽えた。
ナイ「だ、大丈夫ですよ!あの時、アレクスとヴィオラに助けてもらいましたし」
心配かけてしまったのか、とナイはアサギに対して申し訳なく思ったが。
アサギもまたナイに対して申し訳なさを感じていた。
それと、アサギはアレクスという名前に反応した。
アサギ「アレクス様、確かルル様もおっしゃってた…」
刀使いと言われる人物。まだアサギは彼に会ったことが無い。
しかし、アサギの口にしたルルという名前にイーグルとレオは「誰だ?」と困惑していた。
レオ「アサギ君、ルルって誰?」
レオの困惑を含む声音の言葉にアサギはレオの顔を見た。
ルルは学園に通う銀髪の少女だ。
それをレオが知らない筈がない。
アサギ「…ルル様は3-4に所属する銀髪の女性では?」
ルルという少女の存在に多少の不安を覚えつつもアサギがレオにルルの特徴を言えば、レオは「ああ、あの子ね!」と声を上げてどこか焦った様な素振りを見せて納得していた。
アサギはレオの挙動不審な焦りぶりに首を傾げるもイーグルがさも当然の事のように言った。
イーグル「それはルナではないのか?」
…え?
イーグルに言われ、アサギは驚く。
彼女の名はルルでは無いのか、と。
アサギに抱えられているナイは不味いものを食べさせられたような表情をした。
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ああ、この流れはちょっと不味いとレオは思った。
イーグルは不器用で正直なところがあるからなあ、と頬を掻いてレオはアサギに言う。
…ほとんどアサギは知ってるだろう。
レオ「アサギ君、ルルが本名言えなかったのは彼女の名前に意味があるからでね」
レオの言葉にアサギは大体の察しがついた。
ルル、彼女もナイと同じ立場に立っているのか。
アサギは大丈夫だ、という意味を込めて微笑んだ。
アサギ「…ルル様も、お辛い運命を背負われてるのですね」
彼女の姿をアサギは思い出す。
銀髪の長い髪の、華奢な少女だった。一緒にいる時、彼女は笑っている表情は見たがそれ以外の表情は見たことがなかった。
彼女もナイと同じように、かつて南大陸で起きた千年戦争の哀しみを背負っているのかと思うと、アサギは胸が締め付けられる苦しみを感じる。
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銀の長い髪が揺れる。
木々が生い茂る森の中で、ロザリオは迷いのない足取りで歩を進める。
一歩、一歩と足を進めると異変がロザリオの身体に付き纏う。
…吸血鬼の結界か。
ロザリオは真っ直ぐ、前へと進む。
そして見えない境界にロザリオが足を踏み入れれば、周囲の景色ががらりと変わった。
森林から、白い空間へと変化する。
壁と床は白く、どこかの室内かと思わせられるがこれは吸血鬼が作り出せる異空間。
空間の中央には小さなテーブルと椅子に座る人影。
ロザリオは深いため息を吐いて、椅子に座る人物の名前を呼ぶ。
ロザリオ「…どういうことだ、ソル・ヘリオス」
怒気を含んだ強めの声と言葉をロザリオは距離を取りつつも、椅子に座るソル・ヘリオスに言う。
ソル・ヘリオスは優雅にティーカップの持ち手に指をかけて持っている。
ソル・ヘリオス「…手助けだと思ってくれ。君たちは帝国の情報と引き換えにサイレンスロードの依頼を引き受けたのだろう?」
ソル・ヘリオスはそう言ってティーカップの中の紅茶を飲む。
ロザリオはその面殴り飛ばしたいと衝動に駆られたが、堪える。
後でサイレンスロードは殴ろう。
ロザリオ「あれの一族を守るのがお前の役目だろう。それが何故俺達の手助けをする」
ロザリオは手に魔力を込める。
手の内に魔力で構成された剣が現れ、ロザリオは剣の切っ先をソル・ヘリオスに向ける。
しかし、ソル・ヘリオスは平然と紅茶を飲む。
ソル・ヘリオス「聞いたのだろう?帝国が古代兵器を二基所有してることを…」
ロザリオ「おい、お前がそれを認めるのはまずいだろ」
流石にロザリオが待ったをかければソル・ヘリオスは笑みを浮かべた。
ソル・ヘリオスの笑みにロザリオは嫌な予感がしたが予感通り、ソル・ヘリオスは言葉を吐く。
ソル・ヘリオス「…お前がためらうのはミトラスが愛した国だからか?」
ミトラス。
その名前をソル・ヘリオスの口から聞き、ロザリオは目を細める。
ロザリオ「お前には関係ない 」
ロザリオは答えるがソル・ヘリオスは首を横に振った。
ソル・ヘリオス「関係はある。俺はミトラスを引っ張り出したい。だが、それが出来るのはロザリアだ」
ソル・ヘリオスの言葉の意味。ロザリオは正確なところは解らない。
…ミトラスを引っ張り出すのにロザリアが必要?
眉を顰めてロザリオはソル・ヘリオスを睨みつけた。
ロザリオ「…あの二人はもう、終わった関係だろう?」
…ロザリアはミトラスを選ばなかった。
それどころか、ミトラスの心臓に剣を突き刺したのだ。
だがソル・ヘリオスの考えは違った。
ソル・ヘリオス「終わっていたら、ミトラスは自分の子孫を手にかけないだろう 」
ソル・ヘリオスの言葉にロザリオは目を大きく開く。
…自分の子孫を…?
ロザリオは考え、自分の記憶を手繰る。
そして思い出した。
あの時、千年戦争の終わりのきっかけを。
ロザリオ「…ミトラス」
未だ、剣をソル・ヘリオスに向けていたロザリオは顔を俯かせる。
彼の人の名を口にすれば、記憶は容易に姿を引きずり出す。
金の髪の、彼の後ろ姿を。
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アサギは変わらず、ナイを抱えて歩く。
イーグルとレオをその後ろを歩いていた。
相変わらず誰かの結界の中のようだ。異変は特に無いがレオはナイの体調が気がかりだった。
どう考えても、ナイの身体を酷使し過ぎだとレオは思う。
アサギはともかく、3-4のメンバーは気づいてる筈だ。
ナイがノービリスとの戦いで身体に負ったダメージは決して軽いものではない。
なのに、まるで限界以上に…。
イーグル「兄上」
思考に夢中になっていたレオの腕をイーグルが掴む。
どうしたのか、とイーグルに聞く前にレオを自分の背にやったイーグルがもう片方の手の内に剣の柄を握っていた。
イーグル「…囲まれた。複数の気配だ」
姿はまだ、現していないが木々の死角に潜む複数の気配にイーグルは目を細める。
アサギも気づいたらしく、ナイを降ろした。
ナイも手の内にソレール・アームズの杖を懐から取り出し、手に握っている。
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パパ、やめて。…パパ
高く、幼い声がナイの脳裏に聞こえる。
あの、夢の中で聞こえた声だとナイは気づくも。突然頭の中に聞こえた子供の声に視界がぐらつくが気力でどうにか持たせる。
聞こえるこの声はとても哀しそうで、泣いているようにも聞こえた。
イーグル「来るぞ!」
イーグルが声を上げる。
それと同時に木々の死角から複数の気配が飛び出してきた。
それはかつてローゼ村の裏山で戦った魔界の欠片と酷似している姿をしている。
元は水なのだろう。透明な水の身体、人の子供の姿を真似たのか。
背丈は子供。顔は無いが頭部の側面に一本ずつの触覚の様なものが生えている。その触覚は恐らく髪を真似たのだろう。
魔界の欠片「オ父様、オ父様…」
同じ姿をした魔界の欠片が十体近く、四人を囲んでいる。
イーグルは剣を前に構え、背後のレオが魔法の詠唱に入る。アサギも鞘から刀を引き抜き、構えて魔界の欠片に視線を送り警戒する。
ナイはぼやける視界を閉じ、魔法の詠唱に集中を始めた。
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昔の話だ。ナイが学園に来たばかりの頃だった。
村を襲われ、記憶が混濁し意識障害も少なからずあった時。
ナイはロザリアの腕に抱えられていた。
ロザリアの腕の中でナイはぼんやりと学園の外庭を見ていた。
その時、聞こえた。
沢山の声。
それは子供の声だったり、男性の声だったり、女性の声だったり。様々なものだった。
ナイは「聞こえる」と呟けば、ロザリアが哀しみに満ちた笑みを浮かべていた。
ロザリア「そっか、やっぱり聞こえるのね…」
沢山の声は楽しそうな声が多かった。声との距離は遠く、言葉までは拾えなかったがナイは興味を持ち、ロザリアに聞く。
この声は誰のものなのか、と。
ナイの質問にロザリアは眉を下げて答える。
ロザリア「…ナイ、この声はかつてここで暮らしていた人達のものよ」
ロザリアの言葉の意味を当時のナイにはよく解らなかったが、成長と共に気づく。
それがロザリア達の背負っているものなのだと。
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ナイは強く杖を握り締めて、魔法の詠唱を口にする。
「オ父様、オ父様」
魔界の欠片が手を伸ばす。
誰かを求めているかのように見えるが魔界の欠片の手は真っ直ぐにアサギへと伸ばした。
その腕をイーグルが斬り落とす。
レオの魔法、シャイニング・レイがその後すぐに発動し紋章から光の光線が放たれ魔界の欠片を数体呑む。
魔界の欠片「ア、アア…オ父様ノ望ミ、」
腕を斬り落とされた魔界の欠片は残った手で斬られた腕に触れる。
人間のように血は出ていない。
仕切りに「お父様」と呼ぶ、その姿にナイはどこか重なる思いを感じた。
しかし、今は考えている場合では無いと魔法ムーンライト・レイを発動させる。
紋章から白い光りの光線が放たれて魔界の欠片を呑み込む。
誰かの結界である以上、周囲の被害は考えなくて良い。
ナイとレオの魔法で魔界の欠片は身体を破壊され、地面に散乱している。
水のような透明でしかし、アメーバのように固形の欠片。
それが地面に落ちているが誰も戦いは終わったなどと思わなかった。
何故なら、あの時にアサギとナイは嫌というほど。
レオ「やっぱり、このクラスの魔法では無理みたいだね」
レオが杖を手にしながら、魔界の欠片を見る。
十体近くいた欠片の全てが魔法に呑まれて身体を破壊されたが消滅には至っていない。
それどころか小刻みに震え、動いている。
アサギ「…しかし、この数を消滅させる魔法はあるんですか?」
あの時は一体。
だからこそ、ナイの魔力でも消滅できたが。
今回は数が多い。
しかもこの魔界の欠片は進化するのだ。
アサギは刀を構え、警戒しつつもレオを見ればレオは頬を掻いて悩んでいた。
レオ「全属性魔法なら、いけると思うけど。僕もナイも太陽の属性は持ってないからなあ…。後はブラッディブレイドの力があればだけど…」
レオの言葉を聞いてアサギは「あれ?」と首を傾げた。
…もしかして、打つ手なしですか?
実のとこかなり危うい現状だったか、とアサギはイーグルを見れば彼はため息を深々と吐いた。
イーグル「…ブラッディブレイド、使える可能性がある奴ならいるんだがな」
そう言ってイーグルはナイに視線をやればナイは凄い勢いで首を横に振った。
ナイ「む、無理言わないで下さい!あと何百年も先の話しですよ?!」
あのロザリオですら使えるようになるまで相当な年数をかけているというのに。
吸血鬼化して十年経つか経たないかのナイには到底不可能だと解りきっている。
しかし、イーグルは鼻で笑った。
イーグル「ふっ…、使用のために極限まで身体を酷使してるくせにか?」
言ったイーグルの言葉に当人とレオ、アサギは驚いた。
当人のナイは何で知ってるんだと言葉も無く口を開けて唖然としていたが、レオは納得した。
…あのアレクスが何で黙ってるのかと思っていたけど。
レオの思う通り、アレクスは境遇が重なるナイに関しては激甘だ。
それこそ、ロザリオ以上にナイの保護者としての行動が多い彼がここまで無理をするナイに黙っていたのはナイのブラッディブレイドを目覚めさせるためか。
レオは納得したが、やはり無理は良くないと思う。
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ナイはどうしても吸血鬼としての能力が欲しいと思った。
これから、戦い抜くにはブラッディブレイドが必要不可欠。
けれど、吸血鬼の力が安定しない。
肉体を酷使し、生命の危機に自らを晒すことで生存本能からひょっとしてと考えたのだが…。
イーグル「…アサギの魔力とナイの魔力の相性がいいと聞いたが」
ブラッディブレイドの使用を諦めていないイーグルは考え、呟く。
アサギはローゼ村での件を思い出して顔を朱に染めた。
対してナイは覚えてないのでアサギが顔を赤くしているのを見て首を傾げていたが…。
イーグル「ナイ、アサギの魔力を体内に入れてみたらどうだ?」
ひょっとしたら、ひょっとするかも知れない。
イーグルはそう言ってナイを見る。
ナイ「あ、アサギさんの魔力を…ですか?」
イーグル「そうだ。先の東大陸でロザリアから聞いたのだが、ロザリアもソウマの歌で体内の力が安定したらしい。お前の場合、アサギと相性が良いいのだろ?」
イーグルはナイの頭に手を置く。
イーグル「できるかどうかは正直解らんがきっかけにはなるだろう」
ナイよりも随分と身長の高いイーグルを見上げ、ナイは頷いた。
それが何かのきっかけになるかも知れないなら試す価値はきっとある。
ナイはすぐにアサギの方へと振り返り、言った。
ナイ「アサギさん!よろしくお願いします!」
ナイはアサギに向かって頭を下げて来た。
アサギも力になりたいと思うが…。
…だ、大丈夫でしょうか?
アサギは不安を感じるも魔界の欠片は再び、こちらに襲い掛かってくるのは明白。
地面に散らばった大量の残骸が動いているのを見てアサギは覚悟を決めた。
アサギ「解りました、ナイ様」
第十六話に続きます