第17話 自覚はありません(色々と)

移動魔法を使用し、学園に戻ったロザリオは門の前で待っていたコウとタキに気づき二人の前で足を止めた。


コウ「ソルは何だって?」


コウが口を開き、ロザリオに聞く。

ロザリオは眉を寄せ、形だけの笑みを浮かべた。


ロザリオ「今一、アイツ自身が考えてる事が解らない。だが、」


だが。そこで言葉を切ったロザリオの先をタキとコウは待つ。

ロザリオが続けた言葉は、二人にとっては予想内というべきか予想外というべきか複雑な心境にさせるものだった。


ロザリオ「…ナハトの遺体はやはり見つかっていないらしい」


…何というか、そうであって欲しくはなかった。

タキとコウは揃って同じことを思う。

場合によってはナイが辛い思いをする事になるだろうとも。

しかし、考えるのを先にやめたタキが肩を竦めて言う。


タキ「あくまでまだ可能性の段階だろう?今は気にすることでは無いと僕は思うよ」


確証の無い話だ。

タキの言葉にコウとロザリオは「それもそうだな」と納得した。


コウ「しかし、ソルはどうして情報をくれたんだ…?」


ソル・ヘリオスはずっと彼の国を守り続けて来た。

王族を守護し、長い時間を費やしていた男は何だってまた敵対する自分達に接触してきたのか。

そればかりは、とロザリオは首を横に振った。

ただ、とロザリオはソルの情報を口にする。


ロザリオ「帝国が古代兵器を二基所有しているのは認めていた」


コウ「え、認めたの?」


国と王族を守護しているソル・ヘリオスが認めたという事は古代兵器の所有は事実ということか。

コウは「いいのか」と思ったが、ソル・ヘリオスには何か思惑があるということは何となく解った。

今までの話しを黙って聞いていたタキは首を傾げる。


タキ「古代兵器の二基所有は流石に国際問題だよ。…それを彼が認めるという事は彼は帝国を壊そうとしているってことじゃないかな」


一基だけでも国と大陸一つは消し飛ばせる威力を持つとされる古代兵器。

各国でも一基の所有なら他国牽制で暗黙の了解で見逃されているが、二基の所有は認められない。

二基所有は軍運用と言われ、国際問題となり帝国といえど糾弾を免れない。

高い確率で戦争に発展する。

そうなれば帝国と王族はただでは済まない。

それを千年もの戦いの日々を戦い抜き、帝国を守り抜いた男が望む事なのかとコウは信じられないと胸中で思う。


コウ「あのソルが…、」


長い時の中、コウ達の知らない間に何かあったのか。

コウは思いつく事がない、と考える事をしなかった。

コウとタキの話しを聞きつつもロザリオは心此処にあらずと空を見上げた。

ソル・ヘリオスの言葉を思い出す。

彼はミトラスの復活を望んでいるようだった。


ロザリオ(…もう、終わった関係だろう。ロザリアはミトラスを選ばなかった、国を取りミトラスに剣を突き刺したんだ)


●●

ナイの手のひらから現れた紋章を中心に防御壁が展開され、ナイは爆発から身を守ることが出来た。

だが、爆発の衝撃によって部屋に並ぶフラスコに亀裂が入り、何かの液体が漏れ出ている。

ナイは紋章を消し、杖を手にして女性を見た。


ナイ「…ここで何を研究してたの?!」


ナイはフラスコの中身を改めて見る。

フラスコの中には目を閉じている、同じ顔の少女が一つのフラスコに一人ずつ。

ナイは女性が何か知っていると見て声を上げて問う。

しかし女性は妖しげな笑みを浮かべてナイと視線を交わす。


女性「言ったじゃない?ここはお父様の望みの為の場所」


女性の言葉にナイは何かひっかりを感じた。

…お父様。

それはあの魔界の欠片が言っていた単語。 

ナイが呪文を詠唱しようと杖を強く握り締める。

その手を小さな手が触れた。

ナイは触れられた手を見る。小さな手、子供の…。

泣きじゃくっていた子供の手がナイに触れたのだ。

子供は変わらず、涙を零している。

子供は口を動かす。ナイにどうにか伝えようと。

ナイには子供の声がちゃんと聞こえた。


…逃げて。あの子達は魔界の欠片。


ナイ「…!!」


ナイは大きく目を開き、女性を見た。

目の前の女性はどこから見ても地上の人に見え、魔界の欠片には見えない。

だが、「お父様」と発せられた言葉が彼女とローゼ村の近隣の山で戦った魔界の欠片と重なる。

ナイの心臓が警報のように大きく脈打った。

フラスコの中に眠る子達も…。

目の前の女性も。



ナイ「…っ、光の刃と闇の刃、両刃は相対し混ざり合うことは無い。けれども我は願い、祈る」


ナイは口を動かし、詠唱する。

オルビスウェルトにおける魔法は体内の魔力と精神にて構築され、自然物との構成によって事象化して現出を可能とする。

杖を己の胸の前へと構えてナイは詠唱を続けようとするが、魔法の発動にはどうしても時間がかかる。

その間の攻撃をかわしきれるのか…。

ナイの額から汗が流れた。


ナイ「駄目だ、ナイでは詠唱破棄も出来ない!」


握り締めた杖を振り、ナイは魔法を破棄した。

その間にフラスコに入った亀裂が広がる。そして、女性は笑みを浮かべた。


女性「お父様の望み、お父様の…」


女性は言葉と共に手を上へと振り上げた。

黒い力が女性の手に向かって集まる。

女性は手を下へと振り下ろす。


女性「ウズルイフ」


凛としていて強い声で言葉を吐いて女性が魔法を放った。

二度目の黒い力の爆発が部屋の全体へと一瞬にして広がる。

ナイは杖を振って声を張り上げた。


ナイ「バリア!! 」


ナイの杖の先から紋章が四つ展開される。

紋章は爆発を抑え、ナイは床で足を踏ん張らせどうにか爆発の威力を抑えようと。

だが、爆発はフラスコに及びフラスコが綺麗な音共に割れ液体が溢れ出る。

ナイはフラスコの割れる音を聞き、まずいと焦りを表情に滲ませた。

そう、あのフラスコの中にいるのは魔界の欠片。


ナイ「詠唱破棄できるルナになれば、少しは…」


尚も爆発を紋章で抑えながらナイは考えを巡らす。

魔法の完唱を終え、発動まで出来る隙をどうするか…。

ナイは杖を持つ手を更に強め、瞼を閉じる。

心と身体に訴える。

もう一人の、私(自分)に…。

しかし、突然の大きな音にナイは思考を中断され目を開く。

漆黒の艶やかな長い髪を揺らし、女性は突然響いた音の方へと向く。

部屋の壁が盛大に崩れ、一つの大きな穴が空いていた。

穴の中心には人影があるも煙でその姿は覆われてしまっている。


アレクス「ナイ、大丈夫か?」


煙の中から男の声がした。

低すぎず、高すぎない。その声音にナイの表情が緩んだ。

煙の中の人影が前へと足を進める。

銀の短銃を前に向けながら、煙の中から出て来たのは白銀の髪の青年。


アレクスだ。

アレクスはすぐにナイのもとへと駆け寄ろうと走る。

けれど、アレクスに表情の無い少女が4体襲い掛かってきた。

少女達はフラスコの中の魔界の欠片。

ナイは口を開き、アレクスに向かって叫んだ。


ナイ「アレクス!その子達は魔界の欠片!気をつけて、」


ナイが言葉の途中、女性が黒い剣を手にしてナイへと斬りかかってきた。

剣撃をバリアで受け止める。

女性の顔を近くで見てナイはやはり人みたいだ、と思う。

白い陶器の様な肌、漆黒の長い髪、薔薇色の唇。

この女性があの魔界の欠片…。


アレクス「ナイっ…、すぐに行く!」


剣とバリアがぶつかり合う音を聞き、アレクスは両手それぞれに持った短銃で少女達に応戦しながら声を上げる。

少女の手がアレクスの首へと伸ばされ、アレクスは持っていた銃を自分の前で構える。

手はアレクスの銃を掴む。

そして、少女が魔界の欠片だと証明するように銃が煙を上げて溶かされ始める。

魔界の欠片の瘴気。

アレクスは少女に掴まれた銃を手放した。


アレクス「そこそこ値段の高いソレール・アームズなんだがな…!」


アレクスは険しい表情を浮かべ、苦笑した。

視線は前方の少女達へ、だが残った片割れの銃を左横に構え引き金を引く。

銃口が大きな音を発生させ、弾が発射された。

弾は真っ直ぐに飛び、ナイに襲い掛かる女性の黒い剣の刃に命中する。

加速が加わった弾の衝撃に女性の剣を持つ手が強制的にナイからずれ。


女性「くっ…!」


女性が短い声を発し、離れた場所にいるアレクスを睨みつけた。

アレクスは少女達を見る。

外見はナイと戦っている女性と似ている。黒い髪、白い陶器のような肌。

だが、女性とは違い少女達には唇が無い。

声も発しない。

アレクスは一つとなった銃を少女達に向ける。

銃口に自分の魔力を集め、それを発射する。

弾の代わりに魔力を発射した場合、低級魔法ぐらいの威力の力を放てるのだ。

白い光りが銃口から少女達に向けて放たれ、少女の一人に命中し片足を破壊する。

それを確認したアレクスは目を細めた。


アレクス「…そういうとこは昔と変わってないな」


言ってアレクスは銃を足のホルダーに戻す。

実戦では久方ぶり。何せ、普段の任務なら銃と体術で事足りるのだ。

ロザリオとの戦闘トレーニングでならよく使っているが…。


アレクス「ナイがまってる、」


呟き、深呼吸をしてアレクスは前方の少女達を視界に捉える。

上体を僅かに前へと倒して床を足で強く踏み込む。

姿勢はそのままにアレクスは左手を開き、手のひらに己の魔力を集める。

魔力は一振りの刀を形成し、アレクスは刀の柄を強く握り締めた。

そして、床を蹴り駆け出す。

駆ける速度は常人のものを超えていおり、並の者では反応すら出来ないだろう。


アレクス「そこを退いてもらおうか」


まるで流れるように、舞うように軽い身のこなしでアレクスは刀で少女達を斬りふせていく。

少女達は人形のように無言で床に倒れる。

身体は床の上で溶け、消えていく。

アレクスは立ち止まる事無く駆け、ナイと女性の間に割って入る。

身を滑り込ませるかのように二人の間に割って入ったアレクスは刀を横に振り、薙ぐ。

女性はそれをかわして後方へと跳び退く。


アレクス「大丈夫か、ナイ」


刀を前に構え、女性を警戒したアレクスはナイに背中を向けて声をかける。


ナイ「うん!ありがとう、アレクス」


ナイは安堵し、柔らかな笑みを浮かべてアレクスに答えた。

アレクスとナイの二人を女性は恨めしそうに睨み。

ナイの傍にいた子供は涙を流しながら、瞼を閉じて思った。


パパ…、どんな事をしても戻らないんだよ


太陽帝国。長く続く王室の歴史に支えられ、巨大な国となったこの国でソル・ヘリオスは自分が長年使っていた執務室にいた。

王の次位にいる彼の執務室はまさに豪華なもので置かれた家具も一級品の物である。

執務室の奥、大きな窓の前に置かれた机と椅子。その椅子に腰をおろしていたソル・ヘリオスは窓から見える空を見つめた。

城で何やら探っていた男に内密で接触した時、ロザリオ達が絡んでいるのではと内心期待していた。

男は吸血鬼の中でも有名なサイレンスロードでロザリオとの取引だと言い、ソルは国の終わりを感じ取った。


もうこの国はかつてソル・ヘリオスが命をかけて守り抜いた国では無くなっていた。

大きく膨れ上がった欲望と塗り重ねられた嘘で成り立ち、王室の誇りは地に伏した。


ソル・ヘリオス「…第一皇子が国の金で行っていた極秘研究」


そして、過去の事故の報告書。

ソル・ヘリオスは頭に叩き込んだ資料の内容を思い出す。

この国が原因となった連鎖を断ち切らねばならない、とソルは脳裏にかつての皇帝の姿を描く。


●●

ローゼ村の近隣の山の洞窟内部。

ナイとアレクスは大掛かりな研究施設が設備された部屋で女性と未だ、対峙していた。

部屋はとても広く、均等に巨大なフラスコが並び建ち。フラスコの上下には何かの装置が付けられていた。

フラスコは女性の魔法で割れた物もあったが未だ割れず中には目を閉じた少女が何かの液体に満たされたフラスコの内で眠っている。

魔法で割れたフラスコの中の少女達はアレクスによって倒された。

アレクスの剣技を目の当たりにし、女性は唇を噛み締め。アレクスとナイに憎しみのこもった視線を投げつけている。


女性「ここはお父様の望みの為の場所。なのに何故、荒すの?!帝国の奴らも、お父様を利用して…、最後には!」


堪えていた思いが何かの拍子に溢れたのか。

女性は悲痛な叫びと共に言葉を吐き出す。

彼女が何を言いたいのか、ナイにはよく解らないがナイは帝国という単語に反応した。


ナイ「帝国?…それは太陽帝国の事なの?」


ナイにとってその国はナイの大切なものを奪っていた国。

帝国、それを聞いたナイは荒い息を繰り返し床に膝をついた。

ナイの視界が赤に染まって、ぐるぐると回りだす。

あの日の記憶が強制的に引きずり出され、ナイは口を手で抑えた。


アレクス「ナイ!」


アレクスが後方のナイの名前を呼ぶもナイにはアレクスの声が遠くに聞こえる。

焦点の定まっていないナイの目を見たアレクスは刀を床に突き刺し、床に蹲るナイの両肩に手を置いて自身も床に膝をついた。

アレクスは口を開け、ナイの首筋に牙をたてた。


ナイ「っ…、」


首からの痛みでナイは目を大きく開き、現実へと引き戻された。

吸血鬼に牙をたてられると痛み以外の感情も引き起こされる。

ナイは熱を持った息を吐き、細い声を上げた。

まさか、そこをアサギに見られるとは思いもせず。


アサギ「ナイ様…!あ…」


扉が開け放たれたままの入り口から飛び込むようにアサギとイーグル、レオの三人が部屋に入ってきた。

ナイとアレクスの姿を見たアサギは何時もの穏やかな雰囲気が掻き消え、とても驚いた表情をしていた。 

現状が解っているのか解っていないのか素早く動き出し、唖然としていた女性を捕らえたイーグルは称賛に価するだろう。


●●

ナイの首筋に埋まっていたアレクスの牙は抜かれ、ナイは床にへたり込み。アレクスはナイの血で染まった唇を手袋をした手で拭った。


レオ「…これ、どういう状況?」


レオは首を傾げてアレクスに問う。

アレクスは先ほどの吸血行為など気にもしてないのか真顔で答える。


アレクス「ナイがトラウマで混乱してたから」


何か問題でもあるのか、と言わんばかりにアレクスはレオの顔を見た。

レオは思わず顔をそらした。


レオ「いや、あの思春期の子に吸血は刺激が…」


すっごく言いづらいとレオは小声で言う。

吸血って痛みよりも他の感情が引き起こされるという。


アレクス「ああ、そういう事か。大丈夫だろう、別に初めてってわけじゃない」


アレクスのけろっとした言いぐさに思わずレオはナイを凝視した。

ナイは肩を強張らせ、あらゆる視線から逃れるように顔を下に向けた。未だに床にへたり込んでいるが。


アサギ「…ナイ様、どういう事ですか?」


ナイの傍に立ったアサギが黒い笑みを浮かべて、いつも以上に低い声でナイに問いかける。

アサギの声にナイの喉から短い悲鳴が出た。


アレクス「…別にどうという事はないだろう、ナイ。アサギはお前の恋人ではないんだからな


アサギにどう答えるべきか、悩み狼狽えるナイに助け船を出したつもりでアレクスは言い放った。

アレクスの発言から微妙な空気が流れたが。 


イーグル「…学園に戻ろう。この女から聞きたい事があるしな」


微妙な空気を特に意図せず、イーグルは打ち破った。

女性は両腕を腰に回され、イーグルに両手を掴まれ手を拘束されている。


レオは「そうだね」とイーグルに同意した。


●●

学園に戻ったイーグル達を門の前で出迎えたのはロザリアだった。

ロザリアは何時もの彼女らしい明るい笑顔を一行に向け、労う。


ロザリア「お帰りなさい、でお疲れ様!それなりの成果があったみたいねえ」


言葉と共にロザリアはイーグルに拘束された女性とナイの後ろに隠れている気配を一瞥した。


ナイ「た、ただいまロザリア。でも資料みたいな物は見つからなかったよ」


ナイは眉を下げて、困惑の表情を浮かべて首を傾げる。

ロザリアはナイの目の前に歩み寄って、大して身長差の無いナイの頭を撫でた。


ロザリア「成果ならちゃんとあったわよ。そこの女性とか、貴方の後ろにいる子供とか」


言ってロザリアは女性に視線を送る。

女性は肩を跳ねさせ、顔色を青くして俯いた。

ナイの背後の子供は身体を震わせ、涙を流している。

その場にいる者の中でアサギと女性は「子供?」と呟くが他の、レオとイーグル、アレクスは大して反応しなかった。

ロザリアは移動し、ナイの後ろに隠れている子供の横にしゃがみ子供の目線と合わせる。



ロザリア「驚かせてごめんね、フリージアちゃん。貴女とそこの大きなフリージアちゃんも、私たちは悪いようにはしないわ」


何時もの笑顔を浮かべてロザリアは発言する。

その発言にアレクス以外の全員が驚いた。


フリージア(大人)「どうして…?どういう事なの?!そこにいるのは誰なのっ?!」


イーグルに拘束されている女性、フリージアが目を大きく開いて叫ぶ。

彼女にはナイの背後に隠れている子供は視えない。

フリージアは自分の名前を何故ロザリアが知っているのか、彼女が話しかけている視えない誰かは自分と同じ名前を持っているのか。突然知らされた事に混乱した。

女性とは対照的に涙を零しながらも子供のフリージアは比較的に冷静だった。


フリージア(子供)「……パパを、止めて。その願いが叶うなら、私はどうなってもいいの」


とても小さな、十をいくかいかないかの子供の発言とは思えない言葉だった。

子供の悲痛な願いを聞き、ロザリアは「大丈夫よ」と触れられないと解っていても子供の頭に手をやった。


ナイ「ねえ、ロザリア。どういう事なの?」


誰もが聞きたかった言葉を口にしてナイはすぐ傍にいる子供とロザリアを見た。


ロザリア「…数百年前、ある研究者は死者を蘇らせる実験をしていた。研究者の名はヴェルヴェリア。彼は死者を蘇らせる鍵は冥界にあると思っていた」


そう、ロザリアの言わんとしている事は沈黙の儀式。

ヴェルヴェリアは冥界は魔界と繋がっていると仮説をたてた。

冥界から死した魂を、こちらに呼び出せるなら。


ロザリア「ヴェルヴェリアが目をつけたのは冥界と魔界の瘴気を持つ魔界の欠片。魔界の欠片を使ってヴェルヴェリアは死者の魂を呼び出そうとした。生きた少女の身体と魔界の欠片を融合させようとした。けれども、確証何てほとんど無い研究だった」


研究は明らかに失敗で、多数の犠牲者を出した。

数百年の月日を経てヴェルヴェリア本人は当時の研究論文が存在している事を知り、それがあまつさえ誰かの手へと…。

流石のマッドサイエンティストも論文の存在を良しとしなかった。


ロザリア「そして、ヴェルヴェリアの論文を手にしたのが魔界の欠片とオリジナルの細胞との融合で生まれたフリージア達の創造主、でしょ?」


フリージア(大人)「どうして、それを…!」


ロザリアの話しを黙って聞いていたアレクスは「オリジナルの細胞」と呟き、先ほどロザリアが子供をフリージアと呼んでいたのを思い出し、納得した。


アレクス「…なるほど、な」


第十八話に続きます